エスペラント VS パンドゥニア

エスペラントは1890年代から1世紀以上にわたって最も人気のある国際補助語です。 そのため 新しい国際補助語はすべてエスペラントと比較されます。

エスペラントは長年にわたって批判されてきました。 繰り返される批判の多くは Justin B. Rye の記事に含まれて います(エスペラントを話さないことを学ぶ(英語))。 それは Vítor De Araújo(英語) によって詳細に、 Claude Piron(英語) によって より広く多くの人との間で 回答されています。

あらゆる批判にもかかわらずエスペラントには利点があり、 国際補助語の中での相対的な成功は否定できません。 しかしエスペラントは本当にその成功に値するのでしょうか。 エスペラントは本当に理想的な国際補助語なのでしょうか。 このページでは批評の最も重要な点を見直してエスペラントとパンドゥニアを比較してみたいと思います。

文字

エスペラントの文字は以下の通りです:

A B C Ĉ D E F G Ĝ H Ĥ I J Ĵ K L M N O P R S Ŝ T U Ŭ V Z
a b c ĉ d e f g ĝ h ĥ i j ĵ k l m n o p r s ŝ t u ŭ v z

「帽子付き文字(サーカムフレックスなど)」は タイプライター、コンピューター、モバイルデバイスの標準キーボードには含まれていないため、 このことはよく批判されます。これは避けることのできた問題です。

よく見落とされがちなのは、文字には大文字と小文字の2つのセットがあるということです。 どちらも基本的には同じ働きです。 それは2つの異なるハンマーを使って1つの釘を打つようなものです。 世界のほとんどの文字は1種類だけで成り立っています。 例えばアラビア、インド、中国、韓国、日本、エチオピアの文字は 大文字と小文字を区別していません。

パンドゥニアでは論理的に基本ラテン文字の小文字のみを使います。

a b c d e f g h i j k l m n o p r s t u v w x y z

欧州中心主義

欧州中心の文法

エスペラントと他の大半の西欧の国際補助語はほとんど同じです。 これらの言語は(細かい違いはありますが) 西ヨーロッパの語彙がほぼ共通していて、 フランス語、英語、ドイツ語、スペイン語、 その他の西ヨーロッパや中央ヨーロッパの言語に共通する標準的かつ平均的なヨーロッパ(英語)の 文法の特徴を繰り返しています。

  1. 品詞は接尾語によって定義されます。 動詞、名詞、形容詞、副詞にはそれぞれ固有の語尾があります。
  2. 名詞(または少なくとも代名詞)は 名詞的、形容詞的、アクセント的などの場合に屈折します。
  3. 動詞は時制、人称、数などの場合に屈折します。
  4. 定冠詞や不定冠詞があります。
  5. 単数形と複数形は分離されています。複数形は数字の後にも冗長に使われます。例えば英語では “one cat, two cats”、エスペラントでは “unu kato, du katoj” など。
  6. 後置詞の代わりに前置詞が使われます。
  7. 二人称単数代名詞には特定の丁寧な形があります。
  8. 男女別の三人称単数代名詞があります。
  9. 完全時制は、“to have” や “to be” と分詞で構成されています。 例えば英語では “I have talked.”、 エスペラントでは “Mi estas parolinta.” などです。
  10. 受動態は “to be” と分詞で構成されています。 例えば英語では “I am seen.”、エスペラントでは “Mi estas vidita.” です。
  11. 通常の語順は、主語(S)-動詞(V)-目的語(O)です。
  12. 質問文では語順が変わります。

英語もエスペラントも7.を除いて上記のすべてを持っています。 イド、ノヴィアル、インターリングアにはすべての特徴があります。 対照的に、例えば中国語には8.と11.があるだけで、 前者は書き言葉でしか見られません(中国語では三人称単数形には 他(彼)、她(彼女)、它(それ)の3つの文字がありますが、 すべて同じ発音で “tā” です)。

標準的かつ平均的なヨーロッパの特徴は西洋のバイアスを暗示しているからといって 悪いものではありません。 しかし中には非論理的であったり、 母国に慣れていない人にとっては単に難しいという理由で悪いものもあります。 多くの学習者は冠詞や「難しい」人称代名詞でつまずきます。 世界の言語はそのような不必要な機能やルールから解放されるべきです。

パンドゥニアの特徴は「1. 品詞は接尾辞によって定義されます」 だけです。 これはエスペラントの主な特徴でもあります。 しかしそれ以外の点ではエスペラントやヨーロッパの 標準的かつ平均的な文法とは大きく異なっています。 ですから文法的にはエスペラントのような ヨーロッパ中心の文法ではありません。

西洋的な語彙か、世界的な語彙か?

エスペラントは国際的な語彙を誇っています。 しかしよく見るとそれほど国際的ではありません。 エスペラントの大半の単語は西洋の言語から来ています。 エスペラントでは国際的な西洋語が見つからない場合でもヨーロッパの言葉を選びます。 birdo(鳥、英語のみ)、vosto(尾、ロシア語のхвостから)、knabo(少年、ドイツ語のKnabeから)などがあります。

自分の住む地域を越えたところを見ずに世界のための言語を作るのは 傲慢ではないでしょうか? エスペラントが作られたのは当時の精神、植民地主義の時代です。

パンドゥニアは国際語には多くのストックがあることを認めています。 西洋語、インド語、中国語、ペルソアラブ語が主要なものであること。 数百もの単語がそれぞれから借りています。 パンドゥニアの語彙は世界的なものです。

品詞語尾

最終母音を使った品詞語尾は独創的なアイデアで、 印欧語の根と接尾辞の単語形式によく合っています。 しかしこれを使わない単語はどうでしょうか?

名詞をエスペラントに取り入れる

エスペラントでは名詞の語尾は -o で終わります。 語尾の付け方には3つの方法があります。

  1. 子音で終わっている語幹に語尾を付けます。 例) birdo (bird), boato (boat), roko (rock), supo (soup), problemo (problem)
  2. 語尾を追加し、最後の母音は語幹の一部として残します。 例) sufleo (soufflé), kopio (copy), heroo (hero), ŝampuo (shampoo)
  3. 単語の語尾を -o に置き換えます。 例) sofo (sofa), ĉimpanzo (chimpanzee), zebro (zebra)

多くの人が1.は自然な言葉になると思っていますが、 2.と3.は不自然な言葉になると思っています。

この問題は名前がエスペラントに取り入れられたときに実際に問題になります。 Mary(マリー)、Maria(マリア)、Mario(マリオ)のような似たような名前をエスペラントに移植して、 それらの名前を区別できるようにすることは可能でしょうか?できないようです。 エスペラントでは通常 Mary と Maria は “Maria” と 書きますが、 -a は正式には形容詞の語尾です。

名詞をパンドゥニアに取り入れる

パンドゥニアでは名詞の語尾が -e で終わるか、語尾を付けません。 一般的に -e は、 -e がないと発音しにくい 語尾の後に使われます。

  1. 普遍的に発音しやすい語幹には語尾を付けません。 例) problem (problem).
  2. 発音の難しい子音で終わる語幹には語尾に -e を付けます。 例) bote (boat), supe (soup), sufle (soufflé)

この法則に基づけば、重要な文字を変更したり削除したりすることなく すべての種類の単語をPanduniaにインポートすることができます。 (訳注:エスペラントがそうであるように、パンドゥニアでも日本語では無理です。かつては「分離不可能な母音のある単語の語尾にアポストロフィーを追加する」という仕様があったようですが、辞書にそれを使った単語が1つも見つからないことから廃止されたようです。「太郎(Taro)」ならそのまま ‐e を付けて「たろーえ(taroe)」もしくは名誉接尾辞 ‐san を付けて「たろーさん(taro‐san)」にするしかありません。正直かなり不自然です)

エスペラントの語幹には固有の品詞が存在します

エスペラントで最も混乱することの1つは、 個別の品詞語尾があるのに語幹はすでに特定の品詞に属しているということです。 さらに混乱を招いているのは、 同じ分類に属する語幹が異なる品詞語尾に属していることです。

例えば blua(青の) と malferma(開ける) は形容詞ですが、 語幹の blu- は形容詞で、語幹の malferm- は動詞です。 この結果、単語の派生に奇妙な非対称性が生じます。 追加の非対称性は動詞の転帰性の非系統的な分布によって引き起こされますが、 これは語幹の nask- (birth) で示されています。

blu- malferm- nask-
blua = 青の - naska = 出生の/出産の
blui = 青ということ - -
- malfermi = 開けるということ naski = 生まれるということ
bluigi = 青くする - -
bluiĝi = 青くなる malfermiĝi = 開く naskiĝi = 生まれる/生じる
malfermita = 開いた/開ける naskita = 生む/生ませる/生じさせる

パンドゥニアの語幹には品詞がありません

パンドゥニアの語幹には品詞がないので、 例えば kay‐ (open) は基本的に動詞なのか形容詞なのかを覚える必要はありません。 品詞は適切な語尾をつけることで追加されます。 形容詞や形容動詞は -i、能動詞は -a、受動詞は -u です。

nil- kay- jen-
nili = 青の kayi = 開いた jeni = 生まれの
nila = 青くする kaya = 開く/開ける jena = 生む
nilu = 青になる kayu = 開かれる jenu = 生まれる